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営業の「目的」を見失うな ― カント哲学の倫理と、あきんどの精神 ―てんびんの詩

てんびんの詩 映画
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カントの哲学に、以下の主張がある。
「他人を手段としてでなく、目的として扱え」*

学生時代、これを読んだ時は、「まあ、他人を自分の手段のために利用するのは、良くないことだよなあ」、とぐらいにしか思っていなかった。
しかし、社会人となって、営業の仕事をするようになってから、この重要性を身にしみて感じるようになった。

そもそも、自分が営業として、何かを相手の人(や会社)に売っているのは、その相手に、自社の良い商品やサービスを手に入れてもらうことで、その相手にハッピーになってもらうためである、はずである。
だからこそ、その商品の営業をやろうと決めた、はずである。

しかし、実際の営業をしていて、目標数値の到達が危うくなってくると、「なんでもいいから、とにかく買って欲しい」といった、必死な状況になり、最終的には、相手がハッピーになろうとなるまいと、あまり気にしなくなってくる。

余裕が無い状況下での営業活動では、常にこの闘いにハマりがちである。
「1,自分の数値をどうしても上げたい」という気持ちと、
「2,本当に相手のために、相手にこの商品をゲットしてハッピーになってほしい」という気持ち。

どちらが上回るかの、内面的な闘い。

「2,相手のために」が勝ったときに、結果も出るし、お客さんも自分自身も、ハッピーになる。


ある面、この状況がよく描かれている映画として、『てんびんの詩(うた)』(1988年製作)がある。

新人研修や、営業の研修などで、見たことのある人も多いだろう。

<てんびんの詩 公式サイト↓>
http://tenbinnouta.ciao.jp

 


てんびんの詩 公式 紹介動画

 

近江商人の13歳の子供が、鍋の蓋を、売り歩く。最初のうち、ただもう「売る」ことを目的にしている間は、胡麻をすったり、泣いてお願いしてみたり、何をしても売れない。反感を買うだけである。

しかしある時、ものを売ることの大変さを、痛感する中で、大きな気づきに至る。

「商品」と「お金」という「物」の交換(コミュニケーション)が行われる根底に、売り手と買い手との深い「心」のコミュニケーションが存在するということに気づいていく。

「あきんどは自分のためではなく、人のため」

「お客さまに少しでも有利になることを考えるのが商人」

「経営・商人とは従業員・お客様のために覚悟すること」

「商いは人の道。人の道、外れたら商いではないぞよ」

「売る者と買う者の心が通ってはじめて売れる」

といった映画中の言葉が、印象的。

 

営業の、本当の目的と、原点が描かれています。

営業という実践の中には、深い哲学と、コミュニケーションの真実が、隠されているのですね。

 

余談ですが、イエローハット創業者で、凡事徹底・掃除哲学の実践で知られる、鍵山秀三郎(かぎやま ひでざぶろう)氏の、深い共鳴による、大きな経済的バックアップによって、この映画は製作されたそうです。
確かに、通底するものがありそうですね。

トイレ掃除をする鍵山氏

トイレ掃除をする鍵山氏

 

さて、営業の本質は、経営の本質にもなってくる。

P.ドラッカーの有名な、「ビジネスの目的とは、顧客の創造である」(The Purpose of a Business is to Create a Customer)も、このことを言っている。
これは、需要を創りだすこと、信頼関係を築きあげること、そして、健全なエクスチェンジ(物・サービス と お金 との交換)が行われている社会そのものの形成を意味する。

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彼は、カントのような純粋な哲学者ではないが、経営学者として、その枠を超えて、哲学的レベルまで、マネジメントやビジネスの本質をつきつめた。
経営、すなわちマネジメントに携わる者も、その明確な目的の下に、誇りをもって、日々の課題に対して、つきつめた状況分析を行い、判断を下していく中で、本当に大切なことを学んでいくのだろう。

 


<『てんびんの詩』 無料・会員向け DVD上映会のご案内>

会員向けの無料上映会を行っています。条件を満たせば、どなたでも会員になれます。

場所:
106-0031東京都港区西麻布1-8-9 バルビゾン40, 8F
Valiant Management College 第2教室にて

日時:日曜日13時からの場合が多いです。下記リンクより日時、詳細をご確認ください。
http://valiantc.com/Events/tenbinnouta-joei/

てんびんの詩DVD

てんびんの詩DVD


 

注)
* 原文は、日本語訳で以下のもの。
「きみ自身の人格における、また他のすべての人格における人間性を、いつまでもまたいかなる場合にも同時に目的として使用し、けっして単なる手段として使用してはならない」
(『人倫の形而上学の基礎づけ』(独: Grundlegung zur Metaphysik der Sitten)エマニュエル・カント著, 1785)
この原文は、
「自分」と「他者」を、常に「目的」として扱うと述べている。
また「手段」とすることを全面的に否定してはおらず、単に「手段」としてのみ扱うことを、いましめている。

エマニュエル・カント:(1724-1804)ドイツの哲学者。

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カント

 

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